御座の方言集     森田利一編
(は〜ほ)             



A B 言葉 意味(左の項目Aの○は広辞苑第六版にも見られる言葉。項目Bの◎は御座郷土史にも見られる言葉)
【は】
(端)はんぱ。端数。
あき (葉木)葉のついてる小枝。
あさん お婆さん。
あばあ お金遣いの激しい人。又は宵越しの金は持たない人の喩え。
はい ハエ。
    独楽 
はいか (徘徊)行ったり来たりすること。
はいから (ハイカラ)@その時代にマッチした人。時代の流れに乗る人のこと。A近代的な女性。
いすけ 竹で編んだ丸形の籠で土砂や小石などをいれて肩で担いで運ぶ竹籠。
いたたき (蝿叩き)集中攻撃を受けること、あるいは集中攻撃を行うこと。
いねこ (灰猫)カマドの中にいる猫。あるいは灰に塗れている猫。
@入梅。梅雨。A(派え)仲間。グループ。
(歯痒い)もどかしい。じれったい。
はかう @大きく破れた網を同じ目合いの網で継ぎ足す。A網の大きい破れを一時的に補修する。
  ばかた (馬鹿垂れ)あほ。
はが 対人関係がこじれること、又はこわれること。
かもん →<ばかたれ>
はきだ (掃き溜め)ごみ捨て場。
はぎり 特大の盥(たらい)。
はぎる 雲がとれる。天候がよくなる兆候がある。。あるいは西の空が明るくなる。
はげちゃ (禿茶瓶)禿頭。つるつる坊主。
はげんそ (半夏至)注→暦に掲載されており、御座ではこの日、坊主が出ると言うので畑に行かない。 
はこ 糞。
はこあ (箱網)定置網で魚が出られない形状の網。
はこくら (糞喰らえ)相手の要求を全面的に否認する、あるいは絶対に応じないことを示す比喩的表現。
こだ (運んだ)運搬した。
はこる →<はかう>
@(狭)海中の岩と岩との切れ間。くぼみ、又は岩の切れ間の隙間。裂け目。A(稲架)大根や稲や漁網を干す長細い成る。丸木。
かる (挟かる)物と物との隙間に物が挟まる。
ける 隙間に物を差し入れる。差し込む。
はさうち (挟み打ち)相手を左右より同時に取り押さえること。
はさば (稲架場)はさ掛場。
ざわん →<はざん>
  ざん 駄目だ。嫌だ。まかりならぬ。
ざんがや →<はざん>
ざんげ →<はざん>。男性用語。
さんじゃんけー →<はざん>。男性用語。
はし @すばしこい。A短気な。B籾殻などが体に入って痒い。
はじかむ (悴む)かじかむ。
はした (端)ごくわずかなもの。数少ない残品。
はしたもん →<はした>
はしりがね 志摩地方の主なる港、又は避難港に停泊している船の乗組員を相手に一夜を共にする遊女のことを言った。
はしれる ひびが入る。亀裂を生じる。
はしゃぐ 木材が乾燥して割れる。
はすかい (斜交い)斜め。
はせまどつく 慌てる。慌てふためく。
はぜる (爆せる)避けて開く。
はた (傍)ねき。近く。そば。
@(膚)人肌。表皮。A魚の鱗。
はだがない 海女さんが海中で作業していて人より早く寒さを感じる。
はたき 1メートル前後の竹の棒の先に厚い布切れ又は太い糸に類したものをつけてコマを回してそれをはたいて遊ぶ子供の遊び。
はた (畑人)畑仕事に従事している人。
はだし (跣)裸足で履き物をはかずに歩く人。
はだて (始める)仕事に取りかかる。
はたばた 周りの人々。傍らにいる人々。
はた ツバキの実。
はたらきど (働人)稼ぎ手。一家の収入をもたらす人。
罰。
はちかる →<はちける>
はちくま 女性が男性のような振る舞いをしている様を形容する言葉。
  はちける 股などをおおきく開く。
ちのかあ (罰の皮)罪の報い。
  ばちばらう はねのける。硬く断るる
  はちをかぶる (鉢を被る)鉢をかぶり自分の顔を見せなくすることの喩え。
初め。最初。
ばっか (幕下)大将の側の配下。部下。
はっ (八卦見)
  はっしゃぐ @浮かれ騒ぐ。心が浮き浮きする。A木製の容器が乾燥して隙間が出来る。
ばっしゃん 雑木林などで野鳥を捕獲する罠。
はっ 圧力を加えて相手を驚かす様。脅す様。又は脅迫。
はっち (蜂)
ばっちゅう (場中)人通りの多い道中。
はってんぐ (八天狗)すべてに優れていることの喩え。海千山千。口八丁手八丁。
はっと (法度)廃止。又は中止。
はづな (端綱)船を繋ぎ止める綱。
ぱっぱ 赤ちゃん言葉で、たばこ。
はつも (初物)@時季的になって初めて食べる食品や果物。A始めて売店に出回る食品や果物。 
つる (削る)@物を削り取る。A他人の物をかすめ取る。
はてなし (涯無し)無限。例→あほのはてなし。
はどる 相手に負ける。恐れをなす。
→<はつ>
  はなぎる @(端を切る)船の舳先を相手の船が横切る。又は舳先をすり抜ける。A自分が先頭に立ってことを行う。
はなくそぼと (鼻糞程)ほんの少しの喩え。
はなたて (花立て)花瓶。
はなたらし (洟垂らし)洟垂れ小僧。
はなつくよおな (鼻突く様な)狭苦しい場所の喩え。
はなで く (鼻で吹く)あざ笑う。
はなの (鼻の穴)鼻孔。
はなをきる →<はなぎる>
はなをほやす (鼻を肥やす)よい匂いを吸い込んで鼻を肥やす。
はぬけ (歯抜け)揃ってあるべきものが所々抜けていることの喩え。
汚水。泥水。
はねあわん 均等がとれない。到底駄目。
ねぼお 魚を釣り上げる釣り竿。
ねをとばす 泥水にまみれる。濡れて汚れる。汚水を跳ね上げて衣服の裾を汚す。
はねをのばす (羽を伸ばす)羽目をはずす。体を休める。「鬼の留守に洗濯をする」と同じ意味。
はねをやすめる (羽を休める)休憩をとる。一息を入れる。
@太っ腹な。A金遣いの荒い。
  はばける むせる。息が喉につかえる。
  はぼる 縫い上げる。
  はまぎ 浜で拾った薪。
はまのすそ (浜の裾)波打ち際。
  はまほ 海岸や浜で作業している人。あるいは漂流して打ち上げられた海藻を拾い集めてお金にする人。
はやお (艪緒)艪を漕ぐ紐・緒。
はや (生やかす)芽を出させる。
  はやじゃらく 出来はよいが完成は遅いよりは、出来が悪くても仕上げが早いほうがよいこと。巧遅拙速。
やす ついた餅を小さく切ること。剥ぎ餅やアラレに切ること。実例→コイサ、アラレヲ、ハヤソヤナア(今夜アラレに切りましょう。)
はやすけ 張り竿の先端に付ける金属性の鉤付き棒。
はやりまい 流行性の病気。
よお 早く。敏速に。
らう @軽く叩く。付着している埃など叩いて落とし払う。A支払う。精算する。B横に薙ぐ。薙ぎ倒す。
はらかす (腫らかす)腫れる。膨れあがる。
はらがもぎる お腹が空く。ひもじい。腹の虫が鳴く。
らく 解体する。ばらばらに離す。
はら 下痢。
はらぐ (腹黒)悪だくみをする人。
ける (散ける)@絡み合っているものが解ける、又はほどける。Aばらばらにする。物を分解する。
はらごしらい (腹拵い)食事をすること。
はらづもり (腹積もり)自分の考えや予定。心づもり。
はらのすじがよじれる (腹の筋が捩れる)面白おかしくて笑いが止まらない。
はらのむしがなく 腹が空いている。ひもじい。
はらほだい お腹いっぱい。満腹。
はらぼて 二段腹、三段腹の人。大きい腹。
はら 妊婦。
はらむ @妊娠する。子供を宿す。A帆に風をうけて帆がはらむ。
鰹や鮪の腹の一部を三角形に切り取った肉片。
りかんぼ 数多く叩くこと。殴ること。(殴れることにも使う。)
はりこ (毬)
こむ 注(つ)ぎ込む。奮発する。
(張り竿)停船中の船の向きを保つために海底や岸壁を突く竿。
りたおす (張り倒す)張り手で倒す。
りのめどほど (針の目ど程)ごく小さいことの喩え。
りみじく 張り手をかます。顔面を強く殴る。
りまわす →<はりたおす>
りやい 心の張り、楽しみ。希望。あるいは心の支え。将来の夢など。
はる (張る)@帆を広げる。Aテントを張る。綱を張る。
ーる 筏を浮かべるためのフロート。
るのはて 随分時間が又は月日が過ぎてから。あるいは忘れた頃に。
はわされる (這わされる)負ける。完敗する。
はわせる (這わせる)@腹這いで進む。A蔓や根を伸ばす。B圧倒する。完勝する。
幼児語で、叩くこと。
んぎ 船を陸に揚げる際に船の下に敷く木片。
はんこ 袖のない、又は袖丈の短い腰までの綿の入った半纏。
はんしょ @(半生)半死に。半殺し。生殺し。醜く痛めつけること。A(半鐘)警報時に用いる小型の釣り鐘。
ばんせん (番線)針金。番号で太さが分類される。
ばんた 殴り続けること。
はんだい @ご飯を食べる食卓。食台。Aご飯を入れる器。
んにかる (半に懸かる)@不安定な物の置き方。A生殺し。半殺し。又は生死をさまよう。
はんばく (半白飯)麦と米とが半分半分の飯。
はんぱ (半端)一組ひと揃いにまとまっていない物。不揃いな物品。
ぱん めんこ。
はんぶずて (半分捨て)食べ物の良い所だけ食べて半分は捨てること。
ばんりゅ 竹を編んで作った魚を入れる籠。
【ひ】
ひぃ (樋)ためてある水門の出口の扉。
ひあい (日合い)日と日の間隔。
いっぱ 日の出より日の入りまで。朝から晩まで。
いがわり 月経の期間中。(この場合「ひい」とは月経をさす。)
ひぃたきざ (火焚き座)竈の前の座る場所。
ひぃたきば (火焚き場)火を焚く場所。特に海女が焚き火をする場所。
ひいて 月の始まり。ついたち。
  ひいてぼし 一日天日に干した乾物。
ひぃふきだ (火吹き竹)燻っている火を息を吹き込んで燃やす、竹の筒の下に小さな穴の空いている小道具。
(火替)鍋や釜の汚れを落とし竈の灰も先負取り除きその周りもきれいに掃除して清めること。注→当地区においては一つの行事であり、特に正月前には行う。
ぴかいち 特に優れている状態。
かえ (控え)船を左に転じる舵の取り方。
ひかがね (膕)ひかかみ。(膝の後ろのくぼんだところ。)
がなひいじゅう 丸一日。朝から晩まで。
ぴか 凪。無風状態。
ひがむ 心がねじける。
(贔屓)
きしゃくる しゃくり取る。毟り取る。もぎ取る。
ひきずりもち (引き摺り持ち)何時も身につけて持ち歩いていること、又は着ている品物や衣服。
ひきずる @物の端を地面につけて引きずる。Aあとあとまでも持ち越す。
ひきつる @(引き吊る)目がつり上がる。Aすごく腹立たしい。
ひきぼち 挽き臼の粉受け箱のこと。
ひきまぁす 「引き廻す」他人の面倒をよく世話する、あるいは他人に力を貸す、与える。
きもじく もぎ取る。
ひげ (髭雨)霧雨。小糠雨。
ひげ 毛深い人。体毛が多い人。
ひこばえる (蓁える)植物の生育が遅れる。途中で発育が止まる。中断する。
ひざらし (日晒し)物を日光に晒す。
ひさる →<ひざる>
  ひざる 退く。
@泳いでいる魚を突き刺す漁具。Aメジナ。
ひしお (引き潮)
びしゃむぎ 平たく潰した麦。
びしゃく 押し潰す。
びしゃける (潰れる)原型が崩れる。
びしょしょ →<びしょぬれ>
しょぬれ 全身頭から水を浴びた様に濡れている状態。     
ひぜに (日銭)日々の現金収入。日給。
  ひぜん @(皮癬)疥癬。A→<ひぜに>
ひぜんかき トカゲ。
ひそひそ 内緒話。他人に聞こえないように耳元でささやく様。
ひそま 整理がついた。片づいた。
める 散らかしている物を整理整頓する。
だす (H出す)穀物を簑の中に入れてあおって穀と実を仕分ける。
  びたびた ずぶぬれ。
ひちけちけのかざ (七気八気の臭さ)強烈な悪臭。
ちことわり (七断り)依頼を全て強く拒絶する。
びちびち 下痢の状態を示す言葉。
びちょびちょ →<びたびた>
  ひちけんぱい (否散り嫌廃)相手の要求をすべて断る
っかける 言葉巧みに先方を信用させる。
  っかたぐ (ひっ傾ぐ)大きく傾く。
っかわく (ひっ乾く)大潮の干潮時の状態。海中の物が水面に現れて日光を浴びる。
ひっくりいる (ひっくり返る)上下一回転する。
ひっくりやす 「ひっくり返す」上下反対にする。うら返す。
ひっこめる (引っ込める)
っしら (びっしり)何時も何時も。来る日も来る日も。毎度毎度。
  っしり →<びっしら>
ったくぞ (放った糞)口汚く相手を罵る悪口雑言。あるいは罵りを受ける悪口雑言。
ったんこ ぴったりあっている状態。よく似合っている状態。
  っちゃける →<はちける>
っつく くっつく。密着する。
ひっぱりだこ (引っ張り凧)四方八方から引く手あまたの様や、人気がありすぎて身動きの出来なくなった状態の比喩的表現。(凧は蛸の説もある。)
  ひてぼし →<ひいてぼし>
いきは いっときは。一時は。
かたけ 一回の食事。
ひと 一重まぶた。
ひとくら 一回。
(火床)海女さんが暖をとるために船に備えてある火を焚く設備のしてある所。
ひとざと (人里)
ひとし (一仕切り)一時の間何か仕事をする、又は仕事を手伝うこと。
ひとつっとう 何かある毎に。その都度都度。
ひとつもない 少しもない。何もない。
ひとて (一手)一種類。一定の物品。
ひとでなし (人でない)人間的でない様を形容する言葉。
ひとでをかる 他人の手を借りる。
ひとなか (人中)人の多く集まっている所。
ひとぼじれる じゃれる。甘える。そばえる。
ひとふご (一畚)一つの畚。注→一畚を方畚、二畚を一荷と言う。
(人見)赤ちゃんが見知らぬ人に警戒する、あるいはその人を見て泣く、いやがること。
とら (人等)人々。他人様。
ひとらごと 相手がいないのに自分一人でしゃべっていること。
ひとらばえ 自然に生えること。
ひとりでに ごく自然に。
ひなか 真っ昼間。日盛。日中。
ひなた (日向)
ひなたみず (日向水)天日でぬくめた水。
ひなたぼっこ 日光浴。
ひなてあめ (日な照り雨)日が照っているのに降る雨。
あたる @海女が海から上がった後すぐたき火で暖を取る。A冬の時節、囲炉裏で火を焚いて暖を取る。
ひにちまいにち 毎日毎日。
(陳)年月の多く経過している品物。古米、古い種のこと。A子供が大人びている様。
ひねく 心が僻む。
ひねとる →<ひね>(この動詞化)
のくるま (火の車)@家計の苦しい生活。A地獄からの迎えの車(火車の訓読み)
ひのくれ 夕暮れ。日没。
ひのめ 日の光。日光
(火場)海女さんが暖を取る海女小屋、あるいは火を焚いて暖を取る場所。
ひばん @(火番)地区の消防団により火の用心のための見張り、又は監視。A(非番)当番でないこと。
びびる 尻込みをする。恐れをなす。気後れする。
ひぼ 紐。又は細紐。
ひぼし (日干し)@やせ細った人。餓鬼。A何も食べていない空腹の状態。
  ひまし (日増し)@期限切れの食品。A日が経つにつれて
ひましに 日が経つにつれて。
ひま (日待ち)@食事をともにしながら多くの人が集まって色々と相談をする会合。A漁の解禁前などに行う前祝を兼ねた会合。
  ひまの 大変なことをしてしまったこと。取り返しのつかぬことをしでかしたこと。大失敗。しくじり
ひまのかぁいた →<ひまのかぁ>(この動詞化)
みず (日見ず)土鼠。
ひもの (干物)天日干しの魚貝類。
(枇杷)
ひやかい @冷たい。A肌寒い。
ひや からかう。
ひやがり 干潮時、海深が浅く歩ける所。
ひやがる (干上がる)日照りが長く続いているので田や池や川の水がなくなる。
ひやげる 田や池等のの水をなくす。
ひやひやする 膚に冷たく感じる。
  ひやりめ (割り目)ひび。陶器や木材やコンクリートの割れ目。
ゅうきだけ (火吹き竹)燻っている火を吹いて火を燃やす竹の筒の下に小さな穴の空いている小道具。
  ひよ 日雇い人。一日雇われて労働すること。
ひょいと 何の気も付けずに。気なしに。
ひよ 日当。
ひょっとして @もしかして。A万が一。
ひよど (日雇い)日雇い労務者。
ひよひよと 貧しい生活をしている人。
ひょろける 足下がふらつく。よろける。
ひょんらす 思ったより軽い様を形容する比喩。
ひらがみ (ひら噛み)頭ごなしに怒声を浴びせること。
ひらがみにあう ひどい目にあう。ひどく叱られる。
ひらく (平くたい)平たい。
ひらご 真鰯。
ひら (疼く)ひりひり痛む。
  ひらびしゃき →<ひらがみ>
びり 最後尾。
びりくぞ (びり糞)@最後尾。A軟便。
びり オタマジャクシ。
びりりいごきも 少しも動こうとしない。微動もしない。
ひるひんなか 真昼間。
ひろいし (拾い仕事)定職を持たず時に応じて各種の仕事で稼ぐ人。
ろた (拾った)
@(便宜)良い都合。A便り。ふみ。
んさつ 新品の札。
びんしょ (便乗)良いついでに乗ること。
びんた 鬢。
びんだま (瓶玉)海面や水面にものを浮かせるため浮力を強くするための瓶の玉。
びん (鬢面)顔面。
びん (貧乏家)暮らしの貧しい家。
びんゆすり (貧乏ゆすり)胡座にくんで膝を小刻みに動かすこと。
んまくる 弾みをつけてまくり上げる。
ひんむく (ひん剥く)@化けの皮を剥ぐ。剥ぎ取る。A丸裸に衣服をむしりとる。
【ふ】
ふあん (不按配)体調がよくない。悪い。
ふいちょう @(吹聴)ふれて歩くこと。A大切に育てること。
ふい 膨れ面になっている。仏頂面をする。
ふいぶい タンポポ。
ふうたい (風袋)物の重さを量る時その入れ物だけの重さのこと。
ふうが @(風雅)風流。雅やか。A(風変わり)普通と様子が変わっていること。
ふうせんくらげ (風船くらげ)カツオノエボシ。
えん (無塩)塩のしていない生の魚。
  (吹く)息を強く出す。
だめ トコブシ。
ふくらす →<ふくらます>
  ふくらます (膨らます)空気を入れて大きくする
ふく (綻び)ほころび。縫い目の糸が切れていること。
ふくいし 膨れ面。不機嫌。仏頂面。
ふくつん 裕福。
ふぐり 睾丸。
ふごく 大食をする人。
ふごいく (畚大工)下手な大工さん。
ふさう 授かる。
ふさん 不賛成。不参加。   
ふせる @(伏せる)地面に腹這いになる。A物事を隠す。物品を隠す。
ふぞおらく →<ぞおらく>。→<のふぞぉ>
ふた (ふたか目)二重瞼。
ふたついち @二人合わせて一人前。A二個合わせて一組。
たになる ずぶ濡れになる。全身水を浴びた状態になる。
(縁)隅。片隅。片脇。
ふちにする あたりを汚す。散らかす。
ぶちどる 腫れ物が腫れ上がる。膿を持って大きく腫れる。
ぶったくり (打手繰)ぶったぐること。
っちょおづら (仏頂面)無愛想な顔。膨れっ面。
  っつら 二度と再び。絶対に。金輪際。
っつり →<ふっつら>
ふっ (降っとる)@どこに行ってもありふれている、あるいはそのような品物。A雨が降っている。B(振っとる)錯乱している。C強く拒絶している。
ふてる @物を失う。なくす。A捨てる。
おろし (船下ろし)新造船を海に浮かべる進水式。
ふなくさ 体調がすっきりしないこと。不健康。寝たり起きたりの生活。
ふなだま (船霊)船の魂の宿っている所。
(舟人)二人一組 で出漁する舟海女漁。男女一組で出漁し、海女は潜り、男(舟頭)は舟上で海女を操作する漁。
  ふぬけ (腑抜け)根性がない人。意志薄弱な人。
ふぬけ →<ふぬけ>
ふねをひくように (舟を曳くように)世間ではあっちこっちで人が集まるとその話(噂)で持ちきりになる様の喩え。
ふまえる (踏まえる)@しっかり踏みしめて立つ。Aよりどころとする。
ふみける (踏み蹴る)踏んだり蹴ったりする。
ふみおら (踏み粗等)物を足で踏んづけること。又は物を大切にしないこと。
ふみつけ (踏みつけ)人を侮ること。人を見下げること。
ふむき (不向き)
ふや 水分を多く含んでぶよぶよになる。膨らんで柔らかくなる。
ふりきん 男性が下着を着けていない状態。
ふりちん →<ふりきん>
ふるて (古手)すでにてある衣服や中古品。
とんび (震鳶)雨に濡れて寒々とした鳶の様に、みすぼらしい身なりの状態の喩え。
ふるさい (古臭い)現代的でない。
ふるのき (古狸)人を欺くことないしは人の喩え。
ふろふだ (風呂札)入浴券。
んぎり 心を決めること。決断すること。
ふんぞりかいる 威張り散らす。でかい態度を取る。我が物顔をする。
ふんづける (踏ん付ける)踏んで押さえる。
んど (分銅)錘。
んに 随分と。特に。
んばちかる 足をしっかり地面に付け腰を少し落として股を大きく開く。
ぶんぶ 赤ちゃん用語で、水。
まわし (規)コンパス。
【へ】
へー (屁)おなら。
へーのかっぱ (屁の河童)すこぶる簡単なこと、たやすいことや、少しも怖くないことの喩え。
へーつっぱりもならん @何の役にもならない。A何をさせても駄目だ。
へーのような (屁の様な)今ここにいたのにいつの間にか姿が見えなくなることの喩え。諺例→声はすれども姿は見えず ほんにあなたは屁の様な。
べーぇ 嫌。拒否。応じない。
へー (平気)
  へーともおもわん (屁とも思っていない)何とも思っていない。少しも気にもしていない。
  へーもならん 使いものにならない。何をさせても無駄である。
  へーっち ゴキブリ。
へー (屁ひり)おならの回数の多い人。人前でおならをする人。
へい ゴキブリ。→<へーハッチ>
ぺぇー 赤ちゃん言葉で、口の中に入れた物を出せ。
べか 木製の小舟。
ぺかぺか すごく薄い様。
へぎだす (剥ぎ出す)何とか遣り繰りを付けてその文のお金をはき出す。
(剥ぐ)物を薄く切る。剥ぎ取る。例→へぎ餅。
へこたれる 凹んで垂れる。へたる。
える (圧さえる)押さえつける。
へさきがうなずく →<へづく>
おる (圧し折る)
こむ (圧しこむ)無理に押し込む。詰め込む。
まげる (圧し曲げる)@強く圧して物を曲げる。A相手の意見をねじ曲げる。ねじ折る。
へす (圧す)押す
へそまがり (臍曲がり)素直でない。根性が曲がっている。
@(辺た)岸辺の海底。A(蔕)へた(柿や法螺等の)。
へたくそ (下手糞)不器用。
べたぐもり (べた曇り)今にも雨の降り出しそうな雲行き。
べた @粘り着く。A二人してじゃれあう。
べた (べた凪)無風状態。
ばる 立ちおりの出来ないほど草臥れる。すごく疲れる。
へたみ (辺見)岸辺の海中や海底を海眼鏡を使って物を採集すること。
(隅)脇。端。片隅。片脇。
ちゃ 不別嬪。
っこむ (凹む)へこませる。くぼむ
  へづく 舳先が少し沈む。船の重量が舳先に加わる。
ったりと @海の岩や島に海藻が一面にへばりついている様。Aお尻を地面にくっつけて座る様。B男女二人して仲良く寄り添う様。
べっとう 時化風。北東の風。
べつ 如何にも。恰も。さながら。
へっぴりごし (屁っぴり腰)腰に力が入っていない。腰が浮いている。腰のしまりがない。
っぺ 赤ちゃん言葉で、汚物。
へづめる 量を少なくする。
へつる @ピンはねする。A剥ぎとる。削りとる。
嘔吐。胃の中の物を口から出すこと。
最後尾。
へなちょ 弱虫。泣き虫。
へぬる 手ぬるい。
へばる →<へたばる>
  へぼ @下手。へたくそ。又は弱いこと。例→へぼ将棋。Aしくじること。失敗。
へやずみ (部屋住み)後継者にすべてを任せて自分は退くこと、又は隠居すること。
へらこい あつかましい。遠慮しない。
片隅。片脇。
べれんそ 泥酔状態を表す言葉。へべれけ。
べろ 舌。
べんかん →<べんべん>
へんじのあいくら 返答がないこと。同意しないこと。
べんちゃら お世辞。
へんてこ (変梃)不思議なこと。変わったこと。又は思ってもいなかった出来事。
  べんべん @ゆっくり。急がず。A道草。寄り道。
ぺんぺん 多くもなく少なくもなし。辛うじて。
 
【ほ】
(棒)棒切れ。
ーたる →<ほーたろ>
  ーたろ (蛍)
ーともて @安心して。A安堵して。胸をなで下ろす様。
ほーばる (頬張る)口一杯に物を入れる。
ほーまく (帆を巻く)速く逃げることの喩え。例→尻に帆を巻く。
  ぼい ぼやく。小言を言う。文句を言う。
ほいで →<そいで>
ほいほい @海女が潜水作業終えて上で息を整えるさま。(海女用語)。A海女作業すること。
ぼいぼい ぶつぶつ。(<ぼいつく>の名詞化。)
ぼいまくる 文句を言って急がせる、又はせきたてる。
ほいほいら やっとの事で逃げること。這々の体。
  る  @犬が吠える。猛獣が吼える。A男根が勃起する。 
ほぉ (帆)
ほおか (頬被り)
ぼおきれ 木片
ほおけ (惚け玉)見当はずれなことを言う人。取り留めのないようなことを言う人。
ほお (惚ける)
ぼおず @坊主。坊さん。和尚さん。A頭に毛がない…丸坊主。B全くの不漁。
ほおだい (放題)自由に。思うがままに。例→食い放題。したい放題等々。
ほおとくぼ (彷到歩)何もすることがなく自分の体をもてあましている人。暢気坊主。苦労知らず。
ほお (這っている)
おばい (朋輩)朋友。友達。親友。
ぼおびき (棒引き)帳消し。線引き。貸し借りゼロ。
ぼおを (棒を折る)失敗する。しくじる。
ほおず 茄子や柿の蔕。
ほがえしならん (帆返し成らず)強風で帆を返すことの出来ないことから、どのようにもこのようにも出来ないことの喩え。
ほがほがして 笑顔で。にこにこして。浮き浮きして。心を弾ませて。
ぼく 木の幹。又は太い枝。
ほこら @(祠)神を祀る小さな社。A風陰で日当たりの良い日向ぼっこに適した場所。
ワラやカヤで編んで作った雨防止のための物を覆い被せる道具。
ほしばっとる 満天の星が輝いている。
ほしらめる 見せびらかす。羨ましがらせる。
  くる (穿くる)@穴を掘る。A暴き求める。
ぜる →<ほぜくる>
ほた 特大。巨大。
ほたえる 悪ふざけをする。やんちゃをする。
ほたほた ふくよかな様。
ぼたぼ 滴がしたたり落ちる様。ずぶ濡れの様。
ほちける (朽ちる)朽ち果てる。
ちぼち 少しずつ。ゆっくりと。徐々に。
ちゃがる (干し上がる)すっからかんになる。勝負に完敗する。
ちゃげる 勝負に大勝する。
ちゃちゃ 機嫌がよい様。気分さわやか。
ぽちゃぽちゃ 肉付きのよいことを形容する言葉。
っこ 粗品。廃品。
っこり はかばかしくない。
ったてごや (掘っ立て小屋)桂の根元を土の中に埋めて建てる粗末な家。
ほったらかす →<ほっとく>
ほったりする 困り果てる。つくづく嫌になる。
ほったる 捨てる。処分する。
ほっちょ (包丁)刃物。
ほってんいり <ほってんがいる>の名詞化。
  ほってんいる (ほってん返る)@お湯が沸騰する。A波が荒れ狂っている。
ほっとく @捨て置く。A手を付けずそのままにしておく。
ほっとけ @手を掛けずにそのまましておけ。A干渉するな。
ぽっぽ 赤ちゃん言葉で、ふところ、又はハト。
ぼつぼつ →<ぼちぼち>
ほっぽりと 温々と。
  ほてくりかいる 大波が浜や岸辺に打ち寄せる。波頭を立てて勢いよく荒れ狂う。→<ほってんがいる>
ぼてや (棒手屋)つり棒で物を担いで歩いて品物を売りさばく行商人。
ほてり (火照り)猛暑。炎暑。照り返し。
てる @(火照る)体が温まる。A(熱る)高熱で上気する。B稲光がする。<ほてり>の動詞化。
ぼてん 竹で編んだ魚の生け簀。
ほど (程)@自分の体の自由。又は身の程。A程度。限度。
ほどがかなわん (程が叶わない)思うように体の自由がきかない。
どく (解く)
ける (解ける)絡まっているものが解ける。
ほとけさん (仏様)お人好しの喩え。
ほどに (程に)ほどほどに。ある程度に。
ほとばる 水の中に物を入れて柔らかくする。ふやかす。あるいは水分を含ませる。
ほとぼり (熱り)余熱。
  にえ 左様ですか。そうでしたか、又はそうですか。(納得した時に発する言葉。)
によ →<ほにえ>
ほねおり (骨折り)事に対し誠心誠意よく尽くしてくれること、又は人。
ほねざこし @手強い。芯のある。根性のしっかりしている。あるいはそのような人。A骨の多い魚を食べた時の感覚を表現した言葉。
ほねっぽい →<ほねざこし>
ほべた (頬辺た)ほっぺた。
ぼぶら 南瓜。カボチャ。
めそやす 褒め上げる。
ほや @ホヤ。A(火屋)ランプを包むガラス筒。(@Aは広辞苑に収録。)B(ほら)注→注意を促す時に発する言葉。
やがる 大潮の満潮時に海中より島や岩など姿を現す。
  やげる (放り上げる)
  ほやみたか (ほれ見たか)人の意見を聞かずして失敗した際に人から言われる文句。
やみよ →<ほやみたか>
ホラ貝。
  (洞)洞穴。洞窟。
ほらくさんぼ →<ほりさんぼ>
ほらくる 放っておく。捨ておく。
ほられる (放られる)@ものに乗り遅れる。A別れる。先に逝かれる。
ほりさがす 散らかし放題にする。
  ほりさんぼ (放り散ぼ)@散らかし放題。A自由奔放に。→<すてさんぼ>
ほりつける 物を放り投げる。地面に叩きつれる。
ほる (放る)放り投げる。すてる。
ぼろ 角や脚が折れた市場価値の低い伊勢海老のこと。
ぼれこむ 一ヶ所に多くの人が集まる。
(掘れる)地面が窪む。
ろほろうとる 嘆いて愚痴を言っている。
ほろうつ 鳥が水や砂を浴びて羽をばたばたとばたつかせている様子。
ぼんくら ぼんやりしている人。
ぼんしょう お盆と正月。
ほんなら それなら。
ぼんぼら →<ぼら>
んぽん 赤ちゃん言葉で、@お腹。Aポンポン船。お船。
ほんま 誠か。真実か。
  ほんま 誠でしょうか。真実ですか。

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